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EC・効果検証

ECサイトのブログは効果があるのか。PVが伸びても売上に繋がらない構造の見つけ方

「ブログをやっているのに効果が見えない」という悩み

ECサイトでブログやコラムを続けているものの、「アクセスは増えている気がするのに、売上に結びついている実感がない」という悩みを聞くことが多くあります。この種の悩みに対して「記事の本数が足りない」「もっとSEOに強い記事を書くべき」といった量の議論で答える情報が目立ちますが、実際には量を足しても解決しない構造であることが少なくありません。

この記事では、弊社が運営する味噌の自社ECサイトのブログ実測データをもとに、PV(表示回数・クリック)が増えることと、売上が増えることの間にどんなギャップがあるのかを紹介します。

表示回数は伸びているのにクリックは減っている

まず前提として、「記事を増やせばPVは伸びる」という前提自体、最近は単純ではなくなっています。自社ECブログのSearch Console実測(直近7日・前年同期比)を見ると、次のような数字になっていました。

指標前年同期直近変化
表示回数242,467342,148+41%
平均掲載順位7.66位6.05位改善
クリック数13,0208,944-31%
CTR(クリック率)5.37%2.61%ほぼ半減

※自社ECブログのSearch Console実測(2026年7月時点)。事業やチャネル・検索クエリの構成によって傾向は異なります。

表示回数は増え、平均掲載順位も改善しているのに、クリック数はむしろ減っています。検索結果の上でAIによる要約が答えを出してしまい、順位が良くてもクリックされにくくなる、という近年よく指摘される現象と一致する動きです。この段階だけを見ても、「順位を上げる」「表示回数を増やす」ための努力が、そのまま売上につながるとは限らないことがわかります。

ただし、この記事で伝えたい本質はもう一段先にあります。仮にクリックの減少が起きていなかったとしても、次に示すもうひとつの実測により、売上にはつながりにくい構造になっていると考えています。

セッションはあっても購入が生まれないファネル

自社ECブログのオーガニック検索経由セッションは週平均で約13,000ありましたが、そこから購入に至るコンバージョン率(CVR)は約0.2%にとどまっていました。表示回数やクリックの動きとは切り離して、「サイトに来てから」だけを見ても、細い構造になっていたということです。

セッションから購入までの実測(自社ECブログ)

セッション 週13,000 購入 CVR約0.2%
図: オーガニック検索経由のセッションは週平均約13,000あるのに対し、購入に至るコンバージョン率は約0.2%程度でした(自社ECブログ実測)。表示回数やクリックの増減とは別に、サイトに来てから購入までの導線だけでも大きく絞り込まれています。

※自社ECサイトの実測値。CVRは事業・商材・客単価により大きく異なるため、絶対値の比較よりも「自社が今どの段階で絞り込まれているか」を確認する参考としてご覧ください。

この落差の原因を探るために、公開している記事を全数点検したところ、ある実測が見つかりました。公開記事86本のうち、その記事の内容に対応する「答えになる商品」への導線(商品リンクや関連商品ブロックなど)が設定されていたのは、点検した時点でわずか4本でした。つまり、82本の記事はどれだけ読まれても、読者が次に取るべき行動(商品を見る・買う)への道筋がそもそも用意されていなかったということです。

「効果がない」のは集客不足でなく「記事から商品への橋」

「ブログに効果がない」と感じたときに真っ先に疑うべきは、記事の本数や検索順位ではなく、記事から商品ページへの遷移導線がどれだけできているかという点です。自社ECブログの実測では、公開記事86本のうち商品への導線が設定されていたのはわずか4本でした。

  • 記事末の関連商品ブロック:読み終えた直後に「この記事の答えになる商品」を提示できているか。
  • 本文中の商品リンク・購入導線:読んでいる途中で、具体的な商品名や購入ボタンに触れる機会があるか。
  • 記事の内容と商品の対応関係:レシピや読み物としては成立していても、特定の商品に結びつけようがない内容になっていないか。

導線がどれだけしかれているかの確認は、地味ですが実務的には非常に効果の見込みやすい改善につながります。新しく記事を書く前に、まず「今ある記事の何%に商品導線があるか」を数えることをおすすめします。

この「記事の役割を商品導線まで含めて設計する」考え方は、D2C・ECのコンテンツマーケティングにおける4段階ファネル設計(D2C・ECのコンテンツマーケティング。広告依存から脱却する4段階ファネル設計)とも重なります。認知や理解の記事と、購買に近い記事とでは、そもそも橋のかけ方が違って当然です。

PVを広告費に変えない

PVが増えてくると、「せっかく人が来ているのだから広告収益化もしたい」という発想が出てきますが、これはわかりやすい落とし穴でもありませう。

自社ECブログでも、記事ページに広告表示サービスの自動広告が有効になっていた時期があり、気づいたときには商品ページにまで競合の広告が表示されていました。

このとき、広告撤去の判断に使ったのが、単純な損益分岐の考え方です。月間セッション規模から見込める広告収益は数千円程度である一方、コンバージョン率がわずかに下がるだけで発生する機会損失の方が大きくなる計算でした。ECサイトのブログは、本来「商品を売るための橋」であり、広告収益はその橋の上に別の目的地を作ってしまう行為です。PVを何に変換するかは、事業の優先順位に照らして決める必要があります。

自社のECブログを診断する3つの問い

ここまでの実測を踏まえ、自社のECブログを診断する際に確認しておきたい3つの問いをまとめます。

診断の3つの問い:

  • 公開している記事のうち、商品への導線(関連商品ブロック・本文中の商品リンクなど)が設定されている記事は何%あるか
  • 検索結果内の変化(表示回数・クリック・順位)と、サイトに来てからの変化(セッション・購入)を分けて把握できているか
  • PVを広告収益などで直接収益化しようとする施策が、本来の目的である自社商品への送客を邪魔していないか

この3つに即答できない場合、記事を増やす前にまず現状の記事を棚卸しすることの方が、投資対効果が高い可能性があります。KPIを「クリック数」ではなく「そこから発生した売上」に置き換えて設計する考え方は、先行指標と遅行指標を分けて見るオウンドメディアのKPI設計(オウンドメディアのKPI設計。経営判断に使える先行指標と遅行指標の順序)とあわせて検討すると、より実務に落とし込みやすくなります。

ECブログの効果は「PV」でなく「導線設置率」で見る

ECサイトのブログに効果があるかどうかは、PVの多寡だけでは判断できません。表示回数やクリックが伸びていても、記事から商品への導線がなければ、その努力は売上という形では回収されないからです。

逆に言えば、記事の本数を増やす前に導線設置率を上げるだけでも、既存の記事資産から成果を引き出せる余地が残っています。オウンドメディアをコストではなく資産として事業に位置づけるためには、PVという表面的な指標の先にある、記事と商品の接続構造まで含めて設計することが欠かせません。

よくある質問

Q1. ECサイトのブログのアクセスは伸びているのに売上につながらないのはなぜですか?

記事の本数や検索順位が原因とは限りません。自社ECブログの実測では、公開記事86本のうち商品への導線(関連商品ブロックや本文中の商品リンクなど)が設定されていたのはわずか4本でした。読まれても次に取るべき行動への道筋が用意されていなければ、PVが売上に変換されません。

Q2. ECブログの効果はどの指標で判断すればよいですか?

PVの多寡だけでは判断できません。表示回数やクリックが伸びていても、記事から商品への導線がなければ努力が売上として回収されないためです。自社のECブログでは表示回数が前年同期比+41%でも、クリック数は-31%、CVRは約0.2%にとどまっていました。まず「今ある記事の何%に商品導線があるか」という導線設置率を確認することをおすすめします。

Q3. ブログのPVを広告収益化するのは問題ないですか?

PVが増えると広告収益化を検討したくなりますが、ECサイトのブログは本来「商品を売るための橋」であり、広告表示はその橋の上に別の目的地を作ってしまう行為です。月間セッション規模から見込める広告収益は小さい一方、コンバージョン率のわずかな低下による機会損失の方が大きくなるケースがあるため、事業の優先順位に照らして判断する必要があります。

安岡 歩/テキサス・アユミ

安岡 歩/テキサス・アユミ

株式会社ドットミソ 代表取締役

メディア・コンテンツ事業13年目。医療系メディアを立ち上げから数百万MAU規模までグロース、医薬品EC/D2Cの立ち上げにも複数関与。現在は自社で味噌・発酵食品ブランドを経営し、コンテンツ施策で商品を売る当事者でもある。

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