トピッククラスター解説は多いのに、失敗が後を絶たない理由
トピッククラスターについて検索すると、ピラーページとクラスターページの関係を説明する記事が数多く出てきます。しかし実際に記事を量産して失敗する原因は、多くの場合、概念を理解していないことではなく、地図を作らずに書き始めてしまうことです。
この記事では、テーマ地図の作り方そのものよりも、地図をどう使ってテーマを選び、どのテーマを書かないと決めるかという運用を扱います。
このコラム自身も、テーマ地図を作ってから記事を書く運用をしています。最初は10テーマ規模の地図で始め、運用が回り始めてから30テーマへ拡張しました。以下では、その運用を実例として開示しながら、地図の作り方と使い方を説明します。
テーマ地図の作り方|ピラーページとクラスターページの関係を先に決める
テーマ地図とは、1つの大きなテーマ(ピラー)と、それを構成する個別テーマ(クラスター)の関係を、記事を書く前に一覧化したものです。ピラーページが全体像を示し、クラスターページが各論を深掘りし、両者が内部リンクで結びつくことで、検索エンジンとAI検索の双方にテーマのまとまりを伝える構造になります。
地図を作る手順は3ステップです。
- 事業のKGIに直結するテーマ領域を大きく分類する
- 各領域の中でユーザーが検索しそうな具体的なテーマ候補を洗い出す
- 候補ごとに需要を実測し、採用するか地図から外すかを判定する
この3ステップのうち、①と②だけで止まっている地図をよく見かけますが、③を挟まない地図は、書いてみないと当たり外れがわからない候補が混ざったままになります。
ピラーページとクラスターページの役割分担
ピラーページの役割は、テーマ全体の見取り図を示し、各クラスター記事への入り口になることです。このコラムでは、コラム一覧ページとカテゴリページ(5カテゴリ)がこの役割を担っています。クラスターページの役割は、ピラーが示した各論を、検索意図の異なる読者に向けて深掘りすることです。個別記事同士も、本文中で言及する箇所に関連記事カードを置き、相互にリンクします。
内部リンク構造は、記事を書いた後でなく地図の段階で決める
内部リンク構造の設計は、記事を書き終えてから関連記事を探して後付けでリンクを張るより、地図の段階でどの記事とどの記事が繋がるかを決めておくほうが、リンクの抜け漏れが起きにくくなります。このコラムでは、キューに1本ずつ記事を積むときに、狙うキーワード・構成の骨子・図解案とあわせて、リンク先候補も記載しています。
キーワードを3層に分けて、判定基準を変える
同じ「順位が上がったかどうか」ですべてのキーワードを判定すると、判定を誤ります。このコラムでは、キーワードを発注検討層(A層)・比較検討層(B層)・学習層(C層)の3層に分け、層ごとに判定方法を変えています。
| 層 | 想定読者 | キーワード例 | 判定方法 |
|---|---|---|---|
| A層 | 発注を検討している人 | 外注費用・会社の選び方・内製化 | 表示回数・順位・クリックで判定 |
| B層 | 読むが即決しない人 | KPI・失敗原因など | 順位でなく、AI検索で引用されるかで判定 |
| C層 | 定義・入門を調べる学習者 | 「〜とは」型の用語解説 | 書かないと決めている(大手・辞書系が占有) |
C層を書かない理由は、書けないからではなく、書いても大手や辞書系サイトに勝ちにくく、勝てたとしても発注検討には繋がりにくいためです。地図の役割の1つは、書けそうなテーマを網羅することではなく、書く価値があるテーマだけを地図に残すことです。
B層の判定を「順位」でなく「引用されるか」に置き換える考え方は、KPI設計における先行指標・遅行指標の考え方とも重なります。指標を確認する順序については以下で詳しく扱っています。
関連記事 オウンドメディアのKPI設計 経営判断に使える先行指標と遅行指標の順序需要を実測してから地図に乗せる。24都市中3都市しか需要がなかった例
テーマ候補を思いつきで地図に加えると、需要のないテーマが混ざります。2026年8月7日に「コンテンツマーケティング ◯◯(都市名)」型の地域キーワードを24都市で実測したところ、需要が確認できたのは大阪・横浜・東京の3都市だけで、残り21都市はゼロでした。この結果を受けて、地域キーワードの企画そのものを地図から落としました。
テーマ地図から執筆キューへの判定フロー
※図中の数値・比率はあくまで目安です。実測時期やツールによって変動します。
この実測でわかるのは、24分の21が外れるという打率の低さそのものではなく、テーマを地図に乗せる前に実測する工程を挟まなければ、この判定ができなかったという点です。実測を挟まずに直感だけでテーマを選んでいたら、21本の記事を書いてから需要のなさに気づいていたはずです。
1記事1KW上限のルールと、クラスター内での格上げ・格下げ判断
地図の中でテーマ同士が同じキーワードを取り合うと、自社の記事同士で検索順位を奪い合う共食いが起きます。このコラムでは、1記事につき主キーワード1つ、副キーワードは3つまでという上限を決め、重複するテーマは別記事にせず、既存記事の一節に格下げしています。
| キーワード | 月間検索数(目安) | 競合性 | 判定 |
|---|---|---|---|
| オウンドメディア 運用代行 | 390 | 7 | 単独記事として採用 |
| ECサイト コンテンツマーケティング | 50 | 0 | 単独記事として採用 |
| shopify コンテンツマーケティング | 0 | - | 単独記事から降格。別記事の見出しの1つに格下げ |
※検索数・競合性は2026年8月7日時点の実測値で、あくまで目安です。ツールや実測時期によって数値は変動します。
「shopify コンテンツマーケティング」は検索数がゼロだったため、単独記事にはせず、より広いテーマを扱う別記事の見出しの1つとして格下げしました。単独記事にするかクラスター内の1節にするかを決める基準は、その語単体で月間何回検索されているかという実測値です。検索数がゼロに近い語に1記事を割り当てると、地図の中で読まれない記事が増え、他の記事の検索順位を薄める副作用のほうが大きくなります。
カテゴリ設計と自動生成の仕組み。地図とサイト構造をつなげる
テーマ地図をサイト構造に反映させるには、カテゴリを固定してから記事を増やす必要があります。このコラムはカテゴリを戦略・設計、KPI・効果測定、外注・体制、制作・運用、メルマガ・CRMの5つに固定し、記事一覧とカテゴリページを、記事データから自動生成する構造にしています。
カテゴリを固定する理由は、記事が増えるたびにサイト構造が変わると、内部リンクの構造も都度組み直す必要が生まれるためです。記事を1本追加すると、一覧ページとカテゴリページが同時に更新される仕組みにしておけば、地図の更新とサイト構造の更新を別々の作業にしなくて済みます。
クラスター設計は自社サイトの中だけの問題ではない
地図を作る作業は自社サイト内のリンク構造を整えることだと考えられがちですが、同じ記事を自社サイトとそれ以外の場所に同時に置くかどうかも、地図の設計に含まれる判断です。2026年8月4日、このコラムの記事を外部のブログプラットフォームにも全文で転載していたことが発覚し、10日間気づかずにいました。
外部のブログプラットフォームは自社ドメインよりドメインの強さが桁違いに大きいため、同じ内容の記事を全文で両方に置くと、検索でもAI検索でも、勝つのは外部側になります。自社のテーマ地図がどれだけ整っていても、同じ記事を外部に全文で置いていれば、自社サイトのその記事は地図の中で機能しなくなります。以後、外部に出すのは要約と本編へのリンクまでに変更しました。
自社サイト内の記事同士の共食いと、外部プラットフォームとの共食いは、起きる場所が違うだけで構造は同じです。流入だけを最適化するあまり露出先を増やしすぎると起きる問題については、以下でも扱っています。
関連記事 オウンドメディアが失敗する原因 「流入だけ最適化」の構造と立て直しの順序運用フロー|地図から執筆キューへ、1本ずつ積む
地図ができても、そこから記事を書く順番と粒度を決めなければ運用は回りません。このコラムでは、地図に乗ったテーマを執筆キューに落とし、1本ごとに狙うキーワード・構成の骨子・図解案・要裏取り事項を書いてから執筆に入っています。
執筆キューに落とす時点で、そのテーマがA層・B層・C層のどれに当たるかも記載します。A層なら表示回数・順位・クリックで判定する前提で構成を作り、B層ならAI検索での引用を意識した一次情報の入れ方を検討します。C層に分類されたテーマは、この時点でキューに乗せず、地図の記録として残すだけにとどめます。
地図は増やすための道具ではなく、書かない記事を決めるための道具
テーマ地図の価値は、書けるテーマを網羅的に並べることではなく、書かないテーマを先に決めることにあります。地図がないまま記事を増やすと、量が増えるほど自社の記事同士が同じキーワードを奪い合う共食いが起き、外部への露出を増やすほど自社サイトの記事が機能を失う可能性も高まります。
記事の設計は、制作の前工程ではなく、限られた制作リソースをどのテーマに配分するかという投資配分の意思決定です。テーマを1つ地図に採用するということは、他のテーマに使うはずだったリソースをそちらに使わないという判断でもあります。量産する前に地図を作り、実測で採用・不採用を判定し、判定結果を記録として残す。この3つを運用に組み込むことが、記事を増やしても共食いを起こさないための最低条件になります。
よくある質問
Q1. トピッククラスターの作り方は、何から始めればよいですか?
最初に行うのは記事を書くことではなく、テーマ地図を作ることです。事業のKGIに直結するテーマ領域を大きく分類し、各領域の中で検索されそうな具体的なテーマ候補を洗い出し、候補ごとに需要を実測してから、採用するか地図から外すかを判定します。このコラムでは最初10テーマ規模の地図から始め、後に30テーマへ拡張しました。
Q2. ピラーページとクラスターページは、どう内部リンクすればよいですか?
内部リンク構造は記事を書き終えてから決めるのではなく、地図の段階でどの記事とどの記事が繋がるかを決めておくと、リンクの抜け漏れが起きにくくなります。ピラーページ(このコラムではカテゴリページ)が各クラスター記事への入り口になり、クラスター記事同士も、本文中で言及する箇所に関連記事カードを置いて相互にリンクします。
Q3. 記事のテーマはどう決めればよいですか?
思いつきでテーマを地図に加えるのではなく、需要を実測してから採用を判定します。このコラムでは「コンテンツマーケティング ◯◯(都市名)」型のキーワードを24都市で実測し、需要が確認できたのは3都市だけだったため、地域キーワードの企画自体を地図から落としました。また検索数がゼロに近いキーワードは単独記事にせず、既存記事の一節に格下げする判断をしています。
