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内製化・体制設計

コンテンツ内製化の進め方。外注→ハイブリッド→内製の移行ロードマップ

「外注か内製か」の二択で考えると、内製化はうまく進まない

「コンテンツマーケティングは内製化すべきか、外注のままでよいか」という問いに、多くの担当者や経営者が悩みます。ナイル株式会社が2023年11月にマーケティング担当者506名を対象に実施した調査によると、現在の体制は「外注メインで一部内製化」が37%、「内製メインで一部外注」が26.7%、「すべて内製化」が24.5%と、いずれの体制も一定数存在しており、決まった正解がないことがうかがえます。

一方で、内製化への意欲そのものは高く、同調査では「内製化したい」と回答した担当者が64%に上りました。理由としてもっとも多かったのは「マーケティングの知見を溜めたい」(44.7%)です。しかし同時に、「内製化したくない」理由としては「専任者の採用予定がない」(48.9%)、「予算があるため外注を続けたい」(44.3%)、「マーケターの育成ができない」(22.7%)が上位を占めています。知見を社内に残したいという意欲と、そのための体制を用意できないという現実の間にギャップがあり、これが内製化を足踏みさせている構造です。

出典: PR TIMES「マーケティング業務の内製(インハウス)化に関する調査」(ナイル株式会社、2023年11月15〜21日実施・マーケティング担当者506名対象)

さらに同調査を業務別に見ると、外注している業務のうち「コンテンツマーケティング」は43.7%で2位、内製化したい業務のうちでも「コンテンツマーケティング」は47.5%で2位に入っています。コンテンツ制作は、内製化したい気持ちが強いのに実際には外注に留まりやすい、代表的な業務だといえます。

出典: seohacks.net(ナイル株式会社運営)「マーケティング業務の内製化に関する調査」詳細分析(ナイル株式会社、2023年11月実施の同調査データを業務別に再集計)

このギャップを埋める方法は、「今すぐ全部を内製にする」か「ずっと外注のままにする」の二択ではありません。

次章で紹介する3段階のロードマップに沿って、外注に依存する範囲を計画的に減らすことも選択肢になります。

外注→ハイブリッド→内製|3段階の移行ロードマップ

内製化は、ある日を境に体制を切り替える一回限りの意思決定ではなく、外注メイン期・ハイブリッド期・内製メイン期という3段階を順番に踏んでいく移行プロセスともいえます。各段階で「外注に何を任せ、何を社内に残すか」の配分が変わっていきます。

フェーズ1|外注メイン期。プロに型を作ってもらう段階

内製化の出発点は、いきなり社内で完結させることではなく、外注を通じて「型」を学ぶことです。この段階では、キーワード設計・構成案作成・効果測定といった工程の大部分を外部のプロに任せ、社内は発注管理と成果の確認に専念します。外注に何を任せ、どこまでの予算を割くかは、契約形態別の費用相場を理解した上で判断しましょう。

以下の記事では、契約形態ごとの費用感と社内に残る知見の違いを整理しています。
コンテンツマーケティングの外注費用と相場は?契約形態別に比較

フェーズ2|ハイブリッド期。企画・ディレクションを社内に移す段階

フェーズ1で発注管理と効果測定の勘所がつかめてきたら、次は企画立案とディレクションを少しずつ社内に移します。記事の執筆や入稿作業などの実制作は引き続き外注に任せつつ、「どのテーマを、どんな構成で、誰に届けるか」という上流工程を自社で担うのがこの段階の特徴です。ここで初めて、社内に企画・構成設計の専任担当者が必要になります。

フェーズ3|内製メイン期。戦略設計まで社内で回す段階

最終段階では、戦略設計から企画・制作・改善までを社内で完結させ、外注はスポットの専門作業(監修、特定分野の執筆など)に限定します。内製化を進める際、どのファネル段階のコンテンツから内製の優先度を上げるかは、自社の購買ファネル設計によって変わります。
以下の記事ではファネル別の役割分担を踏まえて、内製化する工程の優先順位を紹介します。
D2C・ECのコンテンツマーケティング。広告依存から脱却する4段階ファネル設計

自社は今どのフェーズにいるかの判断軸

3段階のロードマップは一直線に進むとは限りません。自社の現在地を把握するために、縦軸に「社内に蓄積された制作知見」、横軸に「外注への依存度」を取った2軸のマトリクスで診断してみましょう。

内製化の現在地と移行経路

目指す状態 社内知見 多い 社内知見 少ない 外注依存 高い 外注依存 低い 危険地帯 知見はあるが依存継続 フェーズ3 内製メイン 戦略設計まで社内で フェーズ1 外注メイン プロに型を学ぶ段階 危険地帯 見切り発車の内製化 フェーズ2 ハイブリッド
図: 縦軸=社内に蓄積された制作知見、横軸=外注への依存度。フェーズ1(左下)から始めてフェーズ3(右上・枠で強調)へ向かうのが正常な移行経路で、背景が濃いほど目指す状態です。この経路から外れた2つの象限が危険地帯です。

左下のフェーズ1から右上のフェーズ3へ向かう線上に自社をプロットできていれば、正常な移行経路にあると判断できます。

一方、この経路から外れた2つの象限は注意が必要です。左上(知見多×依存高)は、社内に知見が貯まっているにもかかわらず、契約や慣性で外注への依存を続けている状態です。契約内容を見直し、フェーズ2・3への移行を検討する時期に来ています。右下(知見少×依存低)は、知見や体制が整わないまま予算都合で外注を切ってしまった状態で、更新停止や品質低下につながりやすい危険な組み合わせです。この2つの危険地帯に当てはまる場合は、5章で紹介する失敗パターンに該当していないかを確認してください。

各段階で社内に残すべき知見・KPI・採用要件

移行ロードマップを進める際に重要なのは、各フェーズで「何を社内に残すか」を具体的に決めておくことです。抽象的に「ノウハウを蓄積する」と考えるのではなく、知見・KPI・採用要件の3点に分解すると、次のフェーズへの移行判断がしやすくなります。

フェーズ1で残すべきもの|発注管理と効果測定の型

この段階で社内に残すべき知見は、構成案やキーワード設計の良し悪しを判断できる目と、効果測定の見方です。専任の制作担当者はまだ不要で、既存の担当者が発注管理を兼務できるレベルで十分です。見るべきKPIも、記事本数・検索順位帯・流入数といった基礎的な指標にとどめます。

フェーズ2で残すべきもの|企画・構成設計のノウハウと初級KPI

企画立案・構成設計・キーワード選定の実務そのものが、社内に残すべき知見になります。KPIも流入数だけでなく、コンバージョン率や滞在時間といった初級の成果指標を追い始めます。この段階からは、企画・ディレクションを担当できる専任者が1名は必要です。稼働時間は週数時間規模でも移行の起点にはなります。

フェーズ3で残すべきもの|戦略設計の型と採用要件

最終段階で社内に残すべきは、事業のKPIとコンテンツ戦略を接続する設計力、制作レギュレーション、そして知見を個人でなく組織のナレッジとして共有する仕組みです。見るべきKPIも、売上や商談化率といった事業指標に紐づく先行指標まで広がります。採用要件も、戦略設計とチームマネジメントができる編集責任者クラスへと引き上がります。

フェーズ残すべき知見見るべきKPI採用要件
フェーズ1|外注メイン発注管理・効果測定の型記事本数・検索順位帯・流入数専任者不要(兼務で可)
フェーズ2|ハイブリッド企画・構成設計・KW選定の実務流入数+CVR・滞在時間企画・ディレクション担当1名
フェーズ3|内製メイン戦略設計・レギュレーション・ナレッジ共有事業KPIに紐づく先行指標編集責任者クラス

内製化が失敗する典型パターン

内製化がうまくいかない企業の失敗理由は、個別に見ると「専任担当者がいない」「SEO知識がない」「属人化した」など様々です。しかし構造として見ると、これらの多くは共通して「フェーズを飛ばして先へ進もうとした」ことに行き着きます。

予算都合だけでフェーズを飛ばし、外注を先に切ってしまう

コスト削減を目的に外注費を先に削り、フェーズ1・2で身につけるはずだった発注管理や企画設計の型が社内に残らないまま、いきなりフェーズ3の状態を求めてしまうケースです。前章のマトリクスでいう「右下:見切り発車の内製化」に該当し、更新停止や品質低下を招きやすくなります。

専任者を採用せず、既存業務との兼務のまま任せる

フェーズ2以降は企画・ディレクションを担当する専任者が必要になりますが、これを既存業務との兼務のまま済ませようとすると、優先度が下がり続け、結局は制作が止まってしまいます。稼働時間が限られていても、担当領域として明確に切り出すことが移行の条件です。

KPI・レギュレーションを整備しないまま制作だけを移管する

記事の執筆作業だけを外注から社内に移し、KPIの見方や制作レギュレーションを整備しないまま進めると、品質基準が担当者ごとにばらつき、知見が組織でなく個人に留まってしまいます。制作を移す前に、4章で整理したKPIと知見の型を先に用意しておく必要があります。

共通する原因: どのパターンも、前のフェーズで身につけるべき知見・体制を飛ばしたまま、次のフェーズの成果だけを求めていることが根本にあります。移行を焦る前に、今いるフェーズで残すべきものが揃っているかを確認しましょう。

内製化はコスト削減策でなく知見蓄積の経営投資

内製化を検討する際、多くの企業がまず外注費の削減額に目を向けます。しかし、内製化を望む理由として最も多いのは「マーケティングの知見を溜めたい」(44.7%)でした。内製化の本質的な価値は、月々の費用が下がることではなく、企画・構成設計・効果測定・戦略設計という一連の知見が、外部の会社でなく自社の組織に残る点にあります。

知見が社内に残れば、担当者が異動しても、契約が終わっても、コンテンツを事業の状況に合わせて動かし続けられます。逆に、知見が外部にとどまったままだと、契約関係が切れた瞬間に更新も改善も止まってしまいます。内製化は単年度のコスト比較で判断する施策ではなく、事業を長期的に支える資産をどこに置くかという経営投資として位置づけるべきです。フェーズを飛ばさず、段階ごとに知見・KPI・採用要件を積み上げていくことが、遠回りに見えて最も確実な進め方です。

よくある質問

Q1. コンテンツマーケティングは内製化と外注、どちらを選ぶべきですか?

「今すぐ全部内製にする」か「ずっと外注のまま」かの二択ではなく、外注メイン期・ハイブリッド期・内製メイン期という3段階を順番に踏む移行プロセスとして考えます。ナイル株式会社の調査では内製化したい担当者が64%に上る一方、専任者の採用予定がないことなどが内製化しない理由の上位を占めており、段階的な移行が現実的な選択肢になります。

Q2. 内製化のどの段階から専任担当者が必要になりますか?

フェーズ1(外注メイン期)は発注管理と効果測定が中心で専任者は不要ですが、フェーズ2(ハイブリッド期)で企画・構成設計を社内に移す段階になると、企画・ディレクションを担当する専任者が1名は必要になります。稼働時間は週数時間規模でも移行の起点になります。

Q3. 内製化が失敗する典型パターンは何ですか?

代表的なのは、①予算都合だけでフェーズを飛ばして外注を先に切ってしまう、②専任者を採用せず既存業務と兼務させる、③KPI・レギュレーションを整備しないまま制作だけを移管する、の3パターンです。いずれも前のフェーズで身につけるべき知見や体制を飛ばしたまま次の成果を求めることが共通の原因です。

安岡 歩/テキサス・アユミ

安岡 歩/テキサス・アユミ

株式会社ドットミソ 代表取締役

メディア・コンテンツ事業13年目。医療系メディアを立ち上げから数百万MAU規模までグロース、医薬品EC/D2Cの立ち上げにも複数関与。現在は自社で味噌・発酵食品ブランドを経営し、コンテンツ施策で商品を売る当事者でもある。

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御社の公開情報と市場データから「何に注力すべきか」の分析データを作り、無料の作戦会議(60分)でお渡しします。

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