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運用・立て直し

オウンドメディアが失敗する原因。「流入だけ最適化」の構造と立て直しの順序

「頑張っているのに成果が出ない」は構造の問題

「記事の本数は増えているのに問い合わせにつながらない」「検索順位は上がっているのに売上が動かない」。
オウンドメディアに力を入れている会社の担当者からよく聞く相談です。この悩みを検索すると、失敗の原因を10個・15個と羅列した記事が数多く見つかりますが、原因を並べるだけでは、自社が今どこから手をつければよいかがわかりません。

実際に更新が止まったメディアを見ていくと、原因は「記事の質が低い」「更新頻度が足りない」といった個別施策の不足よりも、目的・KPI・体制・施策の噛み合わせという構造の問題であるケースがほとんどです。

この記事では、失敗を個別の症状ではなく構造として分解し、立て直す際にどの順番で手をつけるべきかを整理します。

「流入だけ最適化」に陥る構造的な理由

多くのオウンドメディアは、運用を続けるうちに「流入(PV・セッション数)を伸ばすこと」だけが目的化していきます。理由は単純で、流入は最も見えやすく、最も報告しやすい数字だからです。検索順位・PV・セッション数はツールで即座に可視化できますが、その先の「リードが増えたか」「商談につながったか」を追うには、CRMや営業側のデータとも突き合わせる必要があり、事業全体から俯瞰してみることができる視点と知見が必要になります。

見えやすい数字だけが社内で評価され続けると、運用チームは自然と「記事を増やして流入を伸ばす」ことに最適化していくことになるわけです。

更新が止まるメディアは6割超という実態

この構造は、更新の継続性にも表れます。全研本社が2022年12月に全国の会社員300人を対象に実施した調査では、オウンドメディアを運営していた企業のうち、運営開始から半年以内に更新を止めた割合が合計65.5%にのぼることが明らかになっています。

更新を止めた時期割合
運営開始〜1ヶ月5.2%
1ヶ月超〜3ヶ月31.0%
3ヶ月超〜半年29.3%

Web担当者Forum「実は"若いオウンドメディア"が圧倒的多数!ここ3年以内に生まれたメディアが8割以上」

上記3区分を合計すると65.5%になり、運営を始めた企業の3社に2社近くが、半年というごく短い期間で更新を止めている計算です。多くの場合、流入という見える数字だけを追い続けた結果、成果を実感できないまま体制が持たなくなり、更新が止まっています。

失敗を生む4つの構造的原因

オウンドメディアの失敗を構造として分解すると、①目的不在、②KPI不整合、③編集機能欠落、④流入偏重という4つの原因のいずれか、多くは複数に行き着きます。

①目的不在:何のためのオウンドメディアかが決まっていない

立ち上げの目的が「広告費を削減したいから」「競合もやっているから」といった曖昧なまま始まると、記事のテーマ選定からKPI設定まで一貫した判断基準を持てません。目的が定まっていないメディアは、担当者が変わるたびに方向性が揺れ、蓄積した記事群も相互に噛み合わない寄せ集めになりがちです。

②KPI不整合:見ている数字と経営が求める数字が違う

運用チームはPV・セッション数・検索順位を追い、経営層は売上・商談数・LTVを見ています。この2つの数字の間には「何PVが何件のリードになり、何件の商談・受注につながるか」という変換式が必要ですが、多くの現場ではこの変換式が存在しません。結果として、運用チームの「順調です」という報告と、経営の「成果が見えない」という評価がすれ違い続けます。

③編集機能欠落:PDCAを回す体制がない

記事を「作る」機能はあっても、公開後の効果を見て構成を直し、優先順位を入れ替え、古い記事を統合・削除する「編集する」機能を持たないメディアは少なくありません。編集機能を持たないまま外注に記事制作だけを委託すると、量は増えても検索意図とのズレやカニバリゼーションが放置され、記事が資産として積み上がりません。

外注をどう設計すれば知見が社内に残るかは、以下の記事で詳しく論点を取り上げています。
コンテンツマーケティングの外注費用と相場

④流入偏重:検索意図への一致より検索順位を優先する

「上位表示されているか」だけを追い、記事が実際に読者の意思決定に役立っているか、その先の行動(問い合わせ・購入)につながる導線が用意されているかを見落とすパターンです。検索順位が上がっているのに成果が出ないと感じる場合、多くはこの状態に陥っています。

図解:流入は太いが途中で漏れる歪なファネル

4つの原因が重なると、オウンドメディアの成果は「流入は多いが、そこから先で急激に細くなる」歪なファネルになります。自社の数字をこの形に当てはめてみると、どの段階で漏れが大きいかが見えてきます。

失敗パターンに典型的な、先細りするファネル

流入 指数100 回遊 指数40 リード獲得 指数15 商談 指数5 受注 指数2
図: 流入から受注に向かうにつれて急激に細くなる、失敗パターンに典型的なファネルのイメージ。回遊・リード獲得への導線設計が弱いと、流入の大きさに関わらず先細りします。

※数値はあくまで目安(指数)です。実際の歩留まりは事業やチャネル・商材により異なります。

重要なのは流入の量そのものではなく、どの段階で最も歩留まりが落ちているかです。回遊で大きく落ちているなら記事内の導線設計、リード獲得で落ちているならCTAやオファー設計、商談・受注で落ちているならリードの質、つまり検索意図とターゲットのズレに問題がある可能性が高いといえます。

立て直しの優先順位とは?何から手をつけるか

構造的な問題であるため、記事を1本書き直しても、CTAを1つ変えても、根本的には解決しません。立て直しは次の順番で進めます。

立て直しの優先順位

1 記事の量産を止める 既存記事の棚卸しに切り替える 2 目的を再定義する 事業内の位置づけを経営と合意する 3 KPIを事業の数字とつなぐ 先行指標と遅行指標を分けて見る 4 編集機能を構築する 社内に判断機能を残す設計にする 5 流入最適化を再開する 土台が整った状態で量産に戻る ※上から順に進める。飛ばすと同じ構造の失敗を繰り返す
図: 立て直しの優先順位。目的とKPIを固め直さないまま量産だけを再開すると、同じ構造の失敗を繰り返します。
  1. ①記事の量産を一度止める
    流入だけを増やす施策をこれ以上重ねても、漏れている構造は変わりません。まずは量産を止め、既存記事の棚卸しに工数を振り向けます。
  2. ②目的を再定義する
    オウンドメディアが事業のどこに位置づくのか、リード獲得なのか、指名検索の受け皿なのか、既存顧客のLTV向上なのかを、経営層と運用チームですり合わせます。
  3. ③KPIを事業側の数字とつなぎ直す
    PV・セッション数から商談・受注までの変換式を作り、先行指標と遅行指標を分けて見る設計にします。
  4. ④編集機能を構築する
    公開して終わりでなく、効果を見て直す体制を社内に置きます。外注に頼る場合も、この編集機能だけは自社に残す設計が必要です。内製化を段階的に進める手順は以下の記事をご覧ください。
    コンテンツ内製化の進め方
  5. ⑤流入最適化を再開する
    ①〜④が整った状態で、初めて記事の量産や新規流入の獲得に戻ります。この順番を逆にすると、同じ失敗を繰り返します。

まず止めるべきは記事の量産、次にやるべきは目的の再定義

オウンドメディアの失敗は、多くの場合「記事の量」や「担当者の努力」の問題ではなく、目的・KPI・編集機能・流入施策の噛み合わせという構造の問題です。個別の施策を足し引きする前に、まず量産の手を止めて、自社のファネルのどこで漏れているかを確認することが立て直しの出発点になります。

オウンドメディアは単独の集客チャネルではなく、事業全体のリード獲得・営業・顧客育成の設計と接続して初めて機能します。記事を書く前に、その記事がファネルのどの段階の、どの漏れを埋めるためのものかを言語化できるかどうかが、成果が出るオウンドメディアと出ないオウンドメディアの分かれ目です。

よくある質問

Q1. オウンドメディアの記事を増やしているのに成果が出ないのはなぜですか?

「記事の質が低い」「更新頻度が足りない」といった個別施策の不足よりも、目的・KPI・体制・施策の噛み合わせという構造の問題であるケースがほとんどです。全研本社の調査では、運営を始めた企業のうち半年以内に更新を止めた割合が合計65.5%にのぼっています。

Q2. オウンドメディアの失敗を招く構造的な原因は何ですか?

主に①目的不在(何のためのメディアかが決まっていない)、②KPI不整合(見ている数字と経営が求める数字が違う)、③編集機能欠落(公開後に構成を直すPDCA体制がない)、④流入偏重(検索意図への一致より検索順位を優先する)という4つの構造的原因のいずれか、多くは複数に行き着きます。

Q3. 成果が出ないオウンドメディアの立て直しはどこから始めればよいですか?

まず記事の量産を止めて既存記事の棚卸しに切り替え、次に目的を再定義し、KPIを事業側の数字とつなぎ直し、編集機能を構築したうえで、最後に流入最適化を再開するという順番で進めます。この順番を飛ばして量産だけを再開すると、同じ構造の失敗を繰り返しやすくなります。

安岡 歩/テキサス・アユミ

安岡 歩/テキサス・アユミ

株式会社ドットミソ 代表取締役

メディア・コンテンツ事業13年目。医療系メディアを立ち上げから数百万MAU規模までグロース、医薬品EC/D2Cの立ち上げにも複数関与。現在は自社で味噌・発酵食品ブランドを経営し、コンテンツ施策で商品を売る当事者でもある。

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御社の公開情報と市場データから「何に注力すべきか」の分析データを作り、無料の作戦会議(60分)でお渡しします。

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