コンテンツマーケティングの外注費用は「契約形態」で決まる
コンテンツマーケティングの外注費用について検索すると、月数万円から月数百万円まで幅の広い数字が出てきます。この幅は、相場が曖昧だからではなく、契約形態によって支払っているものの中身がそもそも違うために発生しています。
外注の契約形態は大きく3つに分かれます。①記事の単発発注(1本ごとにライターや代行会社へ発注する)、②月額の運用代行(毎月の記事本数・KW設計・改善作業をまとめて委託する)、③顧問・内製伴走型(戦略設計から社内育成までを継続的に伴走する)です。同じ「外注」でも、①は原稿という成果物を、③は自社にノウハウが蓄積される仕組みを買っています。買っているものが違うため、月数万円から数百万円というように、値段が桁違いに変わることにつながります。
次章以降で、契約形態ごとの費用レンジを公開データに基づいて紹介します。予算感だけでなく「発注後に社内に何が残るか」まで含めて検討しましょう。この観点は4章のマトリクスと5章・6章で扱います。
記事単価・文字単価の相場【一覧表】
まず、記事単位・文字単位で発注する場合の相場を確認します。
ライターの文字単価(レベル別)
| ライターのレベル | 文字単価の目安 |
|---|---|
| 初心者ライター | 1〜2円/字 |
| 中堅・プロライター | 3〜5円/字 |
| 専門ライター(監修者クラス含む) | 5〜15円以上/字 |
記事制作代行会社の記事単価(3,000字想定・1本あたり)
| 種類 | 1本あたりの目安 |
|---|---|
| ブログ・コラム〜SEO記事 | 30,000〜150,000円 |
| 専門家監修付き(上記に加算) | +30,000〜100,000円 |
※金額はあくまで目安です。
上記はいずれも代表的な相場の目安で、依頼範囲やライターのスキルによって上下します。たとえば初心者ライターの場合、文字単価が1円を切ることも珍しくありません。
この2つの表を見比べると、文字単価だけで計算した金額と、代行会社が提示する記事単価には大きな差があることがわかります。たとえば中堅ライターの文字単価3円で3,000字を発注すれば9,000円ですが、これは「原稿を書く」作業だけの値段です。代行会社の記事単価30,000〜150,000円には、キーワード設計・構成案作成・編集チェック・入稿作業まで含まれていることが多いですが、どこまでが作業範囲かは契約前に必ず確認しましょう。
月額運用・構築費の相場【一覧表】
継続的にオウンドメディアを運用する場合は、単発の記事単価だけでなく、構築費と月額運用費の2種類の費用を見る必要があります。
オウンドメディアの構築費用(立ち上げ時)
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| サイト構築・設計・初期SEOを含む立ち上げ一式 | 30万〜300万円 |
月額運用代行の予算帯と含まれる作業範囲
| 月額予算帯 | 含まれる作業の目安 |
|---|---|
| 月5万円以下 | 記事月1〜2本+基本管理 |
| 月10〜30万円 | 記事月4〜8本+キーワード設計+リライト |
| 月50万円以上 | 記事月10本以上+戦略設計+CV改善+詳細分析 |
※金額はあくまで目安です。
こちらも目安で、依頼する作業範囲によって上下します。金額差はそのまま作業範囲の差になっているケースが多く、月5万円以下は記事1〜2本と基本管理が中心で、キーワード設計の見直しやコンバージョン改善の分析は含まれません。月50万円以上になって初めて、戦略設計・CV改善・詳細分析という、コンテンツの成長に向けた工程まで費用に含まれるイメージです。
自社に合う契約形態はどれか。4象限で選ぶ
費用の相場がわかったら、次の論点は「自社はどの契約形態を選ぶべきか」です。判断軸は2つあります。縦軸は「コンテンツが事業でどれだけ重要か(補助的な集客なのか、売上の中核なのか)」、横軸は「社内にコンテンツを運用・内製するリソースや意思がどれだけあるか」です。この2軸で自社の現在地を当てはめると、無理のない契約形態が見えてきます。
重要度が低く運用リソースもない段階(左下)では、必要なときだけ発注する記事の単発発注で十分です。コンテンツを売上の中核に位置づけたいのに社内の運用体制がない場合(左上)は、月額の運用代行でまとめて任せるのが現実的です。中核に育てながら社内にも知見を貯めたい場合(右上)は、費用は高くても顧問・内製伴走型で内製化を進めます。重要度がそれほど高くなく、社内で軽く回せるリソースがあるなら(右下)、無理に外注せず内製で十分です。
大切なのは、契約形態は費用の高い安いで選ぶものではなく、自社の「重要度」と「リソース」の現在地で決まるという点です。次章では、この現在地を無視して費用だけで選んだときに起きる失敗を見ていきます。
「安い外注が高くつく」構造
費用だけを見て単発発注や格安の運用代行を選んだ結果、後から追加コストが発生するケースは珍しくありません。理由は主に4つに分解できます。
- ディレクション不在で修正往復が増える。構成案の精度が低いまま執筆に入ると初稿の完成度が低く、発注側との修正のやり取りが何往復も発生します。修正対応にかかる自社の工数は、見積もりの記事単価には含まれていません。
- キーワード設計・検索意図の担保がなく、記事が資産にならない。原稿を書く工程だけを外注しても、そもそもどのキーワードで誰に何を届けるかの設計がなければ、記事は検索順位が付かず、資産として積み上がりません。
- 発注者にノウハウが残らず、代行を切った瞬間に更新が止まる。前章のマトリクスの通り、単発発注や一部の運用代行は知見の移転を前提にしていません。担当者の異動や契約終了で、更新サイクルごと止まってしまいます。
- 「書ける」ことと「売れる導線を設計できる」ことは別スキル。文章力の高いライターであっても、事業の商流やコンバージョン導線まで設計できるとは限りません。記事単価の高低ではなく、契約に何が含まれているかで成果が決まります。
発注前に確認すべき点:
- 成果物に構成案・キーワード選定の根拠が含まれているか
- 初稿後の編集・ファクトチェック工程が費用に含まれているか
- 月次の効果測定・改善提案が契約範囲に入っているか、それとも別途費用か
- 契約終了後、どのデータ・ノウハウが自社側に残る取り決めになっているか
費用の多寡でなく「知見が社内に蓄積される構造か」で選ぶ
コンテンツ運用は成果が出るまでに時間がかかり、費用対効果をデータで明確に測ることも難しいため、多くの場合、外注費は原価ではなく投資として設計する必要があります。
安く単発で記事を積み上げるか、費用をかけて伴走型で知見を社内に貯めるか。決め手になるのは、その事業にとってコンテンツが一過性の集客手段なのか、それとも売上の中核を支える資産なのかという経営判断です。集客の谷間を一時的に埋めたいだけなら単発発注でも十分機能します。一方、コンテンツを事業の主要チャネルに育てたい場合は、初期費用が高く見えても、検索資産と判断基準が社内に残る契約形態を選ぶ方が、中長期のコストは低くなります。
比較検討する際は、見積もりの金額だけでなく、契約が終わったときに自社へ何が残るかを必ず確認しましょう。
