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記事リライトの優先順位とSEO効果測定。「直す」前に判定できる状態を作る

「11〜30位から着手」という定石だけでは判断できない

記事のリライトについて調べると、掲載順位11〜30位の記事から着手するという定石が必ず出てくると思います。私の肌感でも少し前までは、これはどのジャンルのメディアでもだいたい通用する「鉄板判断」でした。

表示はされているのに上位に届いていない記事は、本文の手直しだけで順位が動きやすいという考え方で、実務上の目安としては妥当なものです。

この記事でも、その定石自体は否定しません。ただし、この基準だけでリライトする記事を選び、直して終わりにしてしまうと、次に説明する「効果を判定できない」という別の問題にぶつかります。自社が2026年7月に実際に踏んだつまずきを実数で紹介します。

リライト対象は掲載順位とクリック数の掛け合わせで選ぶ

「11〜30位」という順位帯の目安に、もう1つの軸としてクリック数を掛け合わせると、優先順位はさらに絞り込めます。同じ順位帯でも、そもそも検索結果で見られていない記事と、見られているのに取りこぼしている記事とでは、直すべき箇所が違うからです。

リライト対象を選ぶ優先順位マトリクス

11〜30位帯 それ以外の順位帯 クリック多い クリック少ない 最優先 11〜30位・クリック多い 本文改善で伸びやすい 次点 11〜30位・クリック少ない 検索意図のズレを疑う 導線改善 上位でもクリック多い 商品リンクの本数を確認 対象外 公開直後・順位圏外 判定材料が足りない
図: 掲載順位とクリック数を軸にしたリライト優先順位マトリクス。自社の最大集客記事は週538クリック・平均掲載順位6.1位でしたが、本文中の商品リンクは2本しかなく、③導線改善に該当していました。

左上の「最優先」ゾーンは、11〜30位で一定のクリックがある記事です。本文の情報を補強したり、見出しの構成を検索意図に合わせ直したりするだけで、順位が動く可能性が高い領域です。

一方で見落としやすいのが、左下の「導線改善」ゾーンです。自社の最大集客記事は週538クリック、平均掲載順位6.1位と、順位もクリックも十分でした。ところが本文中の商品リンクはわずか2本しかありませんでした。この記事に必要だったのは順位を上げることではなく、記事から先に進む導線を増やすことでした。

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このように、同じ「クリックが多い記事」でも、直すべきは本文ではなく導線であるケースがあります。マトリクスで自社の記事を分類してから着手すると、優先順位を取り違えにくくなります。分類の作業自体は難しいものではなく、Search Consoleの掲載順位とクリック数を書き出して4象限に振り分けるだけで、次にどの記事から着手すべきかが見えてきます。

公開したばかりの記事はリライト対象に入れない

優先順位マトリクスの「対象外」ゾーンに入るのが、公開して間もない記事です。表示回数が少なく、順位もまだ安定していないため、直しても判定に使えるデータがそもそも溜まっていません。

自社の別サイト(サービスサイト)の実例では、公開から2週間の記事が「コンテンツマーケティング 外注」というキーワードで表示回数13回、平均掲載順位47位でした。表示は出始めていますが、クリックが発生する順位帯にはまだ遠い状態です。この段階の記事をリライト対象に含めても、直した効果を測る材料が足りず、判定そのものができません。

リライトを検討する前に、まずは記事が判定に足りるだけのデータを持っているかどうかを確認します。

「直す」だけでは終わらない。判定できる状態を作る

ここからが本題です。対象を正しく選んでリライトを実行しても、その効果を判定できる状態が整っていなければ、施策は結局「やりっぱなし」になります。

自社では2026年7月14日から29日にかけて、構造修繕・新テーマ公開・ピラーページ公開・89記事の2カラム化・上位記事2本のリライト・関連商品表示23本への追加・図解9点の追加など、施策のべ13本を実施しました。8月8日時点で施策ログを確認したところ、13本すべてが「未判定」のまま残っていました。

施策内容判定状況
構造修繕サイト構造の修繕未判定
新テーマ公開サイトテーマの刷新未判定
ピラーページ公開ピラーページの新設未判定
2カラム化89記事のレイアウト変更未判定
上位記事リライト上位記事2本を修正未判定
関連商品表示23本に追加未判定
図解追加9点を追加未判定

※施策のべ13本のうち主要な内訳を抜粋。2026年8月8日時点の自社施策ログの実測です。すべて未判定のまま残っていました。

直す作業そのものは進んでいたにもかかわらず、それぞれの施策が効果を出したかどうかを確認する予定日は、最初の設定で8月11日でした。つまり、実施から判定予定日まで、比較の基準日がずっと動き続けていたことになります。

直すと判定するの間には、もう1つ工程がある

施策を打つ、記事を直すという作業と、判定するという作業の間には、もう1つ工程があります。「判定できる状態を作る」という工程です。

直す→判定できる状態を作る→判定する、の順序

1 直す 対象記事の本文・構成を修正する 2 判定できる状態を作る 反映確認・比較対象の固定・判定日を決める 3 判定する 固定した比較対象と数値を照合する ※②を飛ばすと施策が未判定のまま残る
図: リライトは「直す」で終わらず、判定できる状態を作る工程を挟んで初めて判定できます。自社は2026年7月にこの②を明示的な工程として置かないまま13本の施策を実施し、8月8日時点で全て未判定のまま残っていました。

①は施策の実行、③は結果の確認です。多くの現場は①から③へ直接進もうとしますが、その間に②反映確認・比較対象の固定・判定日の設定という工程を挟まないと、③にたどり着いたときに何と比べればよいかが定まりません。自社が13本の施策すべてを未判定のまま残したのは、この②を独立した工程として置いていなかったためです。

比較の基準日が動き続けると、判定はできなくなる

判定できる状態を作らないまま時間が経つと、比較の基準はいつのまにか「すでに悪化した直近」にすり替わります。基準そのものが動いてしまうと、施策が良かったのか悪かったのかを、あとから正しく判定することが難しくなります。

自社ECのオーガニック指標は、2026年第15週(4月6日の週)から第31週(7月27日の週)にかけて、次のように推移していました。

指標第15週(4/6の週)第31週(7/27の週)変化
オーガニックセッション3,7132,43734%減
クリック数(Search Console)2,8262,029約28%減
平均掲載順位3.9位6.2位悪化

※自社ECサイトの実測値です。Google Search Consoleの数値をもとにしています。

この悪化が季節性によるものなのか、7月に実施した13本の施策の影響なのかは、この記事を書いている時点ではまだ切り分けられていません。切り分けができない理由は単純で、施策の前後で「触ったページ」と「触っていないページ」を分けて比較する設計を、施策を打つ前に用意していなかったためです。

数値が変わらないときは、反映されているかを先に確認する

リライトしても数値が動かないとき、真っ先に疑うべきは施策の中身ではなく「公開ページに反映されているかどうか」です。

自社ECはページ配信側の仕組みにより、記事本文を更新しても、公開ページのHTMLが数時間から半日ほど旧表示のまま返ることがあります。2026年8月8日、実際にこの現象を不具合だと誤診断し、もう一度同じ箇所を修正しようとしたことがありました。

注意: リライトの効果測定は、反映確認の手順を先に決めておかないと成立しません。「直した」つもりの状態と「公開ページに反映された」状態がずれたまま数値を比較すると、判定そのものが壊れます。

反映が確認できない間は、その記事の判定を保留にするというルールを決めておくだけでも、誤診断による手戻りを防げます。

誰がリライトを判断するか、という体制の話

優先順位の選び方も、判定できる状態を作る手順も、仕組みとして用意するだけでは機能しません。「この記事は直す」「これは様子を見る」と誰が判断するかという役割が決まっていないと、せっかく集めたデータも使われないまま止まります。

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自社の反省点は、施策を実行する担当と、判定日を確認する担当を分けていなかったことです。実行した本人が判定日を忘れると、13本のように未判定のまま積み上がっていきます。判定日をカレンダーに置くこと自体は簡単な作業ですが、それを毎回確実に行う担当を決めておくことのほうが、実務では効いてきます。

体制を厳密に作り込む必要はありません。小さなチームであれば、施策を実行する人と、月に一度まとめて判定する人が同じでもかまいません。重要なのは「実行した」と「判定した」を同じ人が兼ねていても、判定という工程が独立して存在することです。実行のついでに判定した気になってしまうと、比較対象を固定する作業が抜け落ち、結局は感覚的な評価に戻ってしまいます。

リライトは記事単位の作業でなく、判定できる状態を維持する運用

リライトの優先順位は、掲載順位とクリック数を掛け合わせれば選べます。ここまでは、多くの解説記事が扱っている領域です。

本当に効いてくるのは、直したあとに判定できる状態を維持し続けられるかどうかです。比較の基準日が動かないように固定し、反映確認の手順を持ち、判定を担当する役割を決めておく。この3つが揃って初めて、リライトは記事単位の作業から、事業の数字を動かすための継続的な運用に変わります。

よくある質問

Q1. 記事リライトはどの順番で手をつければよいですか?

一般的には掲載順位11〜30位で、かつ一定のクリック数がある記事から着手するのが実務上の目安です。ただし自社の実測では、この基準で対象を選んだだけでは足りず、直した記事の効果をあとで判定できる状態が整っているかどうかを合わせて確認する必要がありました。

Q2. リライトの効果はどうやって判定すればよいですか?

比較の基準日を先に固定し、リライトを実施したページと実施していないページを分けて数値を追う設計が必要です。自社では2026年7月に施策のべ13本を実施しましたが、判定できる状態を作る工程を挟まなかったため、8月8日時点で13本すべてが未判定のまま残っていました。

Q3. リライトしたのに順位やクリックが変わらないときは何を確認すればよいですか?

まず公開ページに変更が反映されているかどうかを確認します。自社ECではページ配信側の仕組みにより、記事本文を更新しても公開ページのHTMLが数時間から半日ほど旧表示のまま返ることがあり、これを不具合だと誤診断しかけた実例がありました。反映確認の手順を先に決めておくことが重要です。

安岡 歩/テキサスアユミ

安岡 歩/テキサスアユミ

株式会社ドットミソ 代表取締役

メディア・コンテンツ事業13年目。医療系メディアを立ち上げから数百万MAU規模までグロース、医薬品EC/D2Cの立ち上げにも複数関与。現在は自社で味噌・発酵食品ブランドを経営し、コンテンツ施策で商品を売る当事者でもある。

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