ばね探訪
運営: 東海バネ工業株式会社
https://tokaibane.com/bane-tanbo/自社商品の存在を徹底的に消した、事例紹介メディア。
ANALYSIS
ばね探訪は、いわゆる事例紹介メディア。自社商品の「バネ」を使用している会社を取材する形式です。しかし、そんな営業要素は知ったことかと、記事の本文には自社製品の宣伝も購入への導線も1件も出てこない。営業色をほとんど感じさせません。UIも、おお、超硬派な古き良きWordpress!しかも、リモート取材とフリー素材で記事を作ることも当たり前になったこの時代に、現場へ行って、複数人に話を聞いて、写真を自前で撮っている。この取材の物理量はAIにもフリー素材にも代替できない一次情報で、それ自体がもう価値です。
2008年開設で今年で18年目。取材先は約30社、取材レポートは92本、直近更新は2026年5月。量産型の更新ではなく、数を追わない持久力が会社本体への信頼につながっています。
で、事例紹介としての営業機能は捨てたのかというと、捨てていないんです。記事一覧の検索タグを見ると、コイルバネ・ねじりコイルばね・ゴムクローラー…ばねの種類、つまり自社商品で取材先を絞り込めるようになっているんです!ここにこの仕掛けをもってきたか。読み物のレイヤーでは自社を消し切り、サイト構造レイヤーでユースケース集の機能がちゃんと残してあるんですねえ。営業色を消すことと、営業機能を捨てることは、別なんですねえ。
自社を出さずにメディアを続ける。言うのは簡単ですが、これをやり続ける勇気は相当なものです。メディアはお金も時間もかかるもの、それをやり続ける信念。ちなみに東海バネ工業は、ばね1本から作る完全受注生産で、値引き競争をしない会社。2008年にはポーター賞も受賞しています。指名で選ばれる商売だから、記事で売り込む必要がない。
BtoBの発信で「うちの製品の何を語ればいいのか」と悩んでいる会社ほど、このサイトを見てほしいです。語るのは自分じゃなくてもいいのだ、と気づけるんじゃないでしょうか。
編集部メモ
自社商品を消した事例紹介記事。超勇気のいる運営方針が、唯一無二のメディアをつくる!