味噌のECを5年半運営してきた自社で、全注文ログを集計した結果、リピート率は14.7%でした。また、初めての購入から2回目の購入までの日数は中央値90日で、30日以内に戻ってくる顧客は27%。つまり残り73%は、1か月では戻ってきていない計算になります。
この記事では、リピート率の定義と計算方法を整理したうえで、この日数分布をふまえ、どのようなメルマガ設計をしたかを、自社の実測データとともに説明します。
リピート率とは
リピート率とは、一定期間内に購入した顧客のうち、どれだけの割合が再度購入したかを示す指標です。新規顧客の獲得より、すでに購入した顧客との関係を維持できているかを見るために使われます。
新規顧客の獲得コストは年々上がりやすい一方、既存顧客への再アプローチは広告費をかけずに実施できます。リピート率が重視されるのは、この2つのコスト構造の違いが背景にあります。
混同されやすい「客単価」との違い
リピート率と混同されやすいのが客単価です。客単価は1回の注文の平均額を指す指標で、何回買われたかは反映しません。客単価が高くても1回きりの購入で終わる顧客が多い事業もあれば、客単価は低くても頻繁に戻ってくる顧客が支えている事業もあります。
どちらの指標も単体では事業の実態を語りきれず、両方をあわせて見る必要があります。客単価の定義と計算方法は別記事で解説しています。
関連記事 客単価とは何か。計算方法と、送料無料ラインを2度動かしても消えなかったズレ リピート率とあわせて見るべきもう一つの指標リピート率の計算方法
リピート率には、主に2通りの計算式があります。
式1: リピート率 = 期間内に2回以上購入した顧客数 ÷ 期間内に購入した顧客数 × 100
式2: リピート率 = ある期間のリピート顧客数 ÷ 前期間の新規顧客数 × 100
式1は「今期買った人のうち何割が複数回買ったか」を見る式で、式2は「前期の新規顧客のうち何割が今期戻ってきたか」を見る式です。同じ注文データを使っても、どちらの式で計算するかによって数字は変わります。社内でリピート率という言葉を使うときは、どちらの式を指しているかを先に揃えておきましょう。
式1で具体的に計算すると、ある期間に購入した顧客が1,000人、そのうち2回以上購入した顧客が150人であれば、リピート率は150人÷1,000人×100で15%です。この1,000人という分母に、その期間中に初めて購入した顧客まで含めるか、以前からの継続顧客だけに絞るかでも、出てくる数字は変わるので、分母の定義は必ず共通認識をもっておきましょう。
集計期間の切り方によっても数字は変わります。単月で区切ると、購入間隔が長い顧客はリピートとして数えられません。まず自社の顧客が実際にどれくらいの間隔で戻ってくるかを先に把握したうえで、集計期間を決める順番になります。
業種によっても、リピート率の水準を単純比較できない事情があります。定期的に消費される日用品と、数年に一度しか買わない耐久財では、同じ期間で区切ったリピート率の意味がまったく異なります。他業種の数字を目標に流用するより、自社の過去の実測と比べるほうが、変化を正しく読み取れます。
自社ECの実測: リピート率14.7%と、再訪までの日数分布
自社が運営する味噌ECの、開業から5年半の注文ログを集計して計算しました。
| 指標 | 実測値 | 算出方法 |
|---|---|---|
| リピート率 | 14.7% | 式1(期間内2回以上購入÷期間内購入顧客) |
| 初回→2回目の購入間隔 | 中央値90日 | 2回以上購入した顧客の間隔を集計 |
| 30日以内に2回目購入 | 27% | 残り73%は31日以上かかっている計算 |
この分布が示しているのは、味噌という商品の消費サイクルと、顧客が実際に戻ってくるタイミングにはズレがあるということです。
1回の購入で数か月分の在庫を買う顧客が一定数いる以上、「毎週メルマガを送れば思い出してもらえる」という発想だけでは、この90日という間隔に合いません。中央値が90日ということは、半数の顧客はそれより早く、残り半数はそれより遅く戻ってきているということでもあります。平均だけを見ていると、この分布の広がりを見落とします。
この日数分布は、リピート率の集計期間をどう決めるかにも直結します。仮に「購入から30日以内に戻ってきた顧客」だけをリピート顧客として集計していたら、実際にリピートしている顧客の大半(73%)を取りこぼしていたことになります。
集計期間を短く切るほど、リピート率の数字は実態より低く出ます。逆に集計期間を長く取りすぎると、今度は施策の効果測定に使いにくくなります。
メールマーケティングで効果的なリピート施策をうつには
自社で行なっているメールマーケティングは、通常配信のメルマガとスケジュールを設定したステップメールの二軸を行なっています。全顧客へ一斉配信するメルマガ5通は、売上が合計0円。一方、購入という行動をきっかけに自動で届く自動メール3本、コンバージョン率10〜44%という結果がでました。
この差が生まれた理由は、配信の技術的な仕組みではなく、送るタイミングの設計にあります。一斉配信は「今日が配信日だから送る」というスケジュール起点、自動配信は「この顧客が購入してから何日経ったか」という、顧客ごとの起点で動きます。
中央値90日というリピートの間隔がある以上、全員に同じ日に同じ内容を送る一斉配信は、大半の顧客にとって購入を検討していないタイミングで届いていた可能性があります。
関連記事 ウェルカムメールの事例と構成要素 D2C・EC9ブランドの1通目を実購読して数えた実態件名や本文のクリエイティブを変える前に、まず「いつ届いているか」を疑う必要があります。件名の工夫は自社でも別記事で実測していますが、送るタイミングが顧客の購買サイクルと合っていなければ、件名をどれだけ磨いても開封後の行動にはつながりません。
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一斉配信と自動配信、何が違うのか
両者の違いを整理すると、送信の起点そのものが異なります。
| 比較項目 | 一斉配信 | 自動配信 |
|---|---|---|
| 送信のきっかけ | あらかじめ決めた配信日 | 顧客の購入日を起点にした経過日数 |
| 内容 | 全顧客に同じ内容 | 経過日数に応じて内容を出し分け可能 |
| 自社の実測(通数と結果) | 5通・売上0円 | 3本・CV10〜44% |
| 90日という間隔との関係 | 考慮していない | 設計の起点にしている |
配信数だけを比べると、一斉配信のほうが多く送っています。それでも結果が出たのは自動配信でした。ここから読み取れるのは、リピート率を上げるために必要なのは配信量ではなく、顧客ごとの経過日数という情報を配信設計に組み込めているかどうかという点です。
リピート率を経営指標として使う条件
リピート率は、客単価や実質粗利と切り離して見ると誤った判断につながりやすい指標でもあります。リピート率が上がっていても、1回あたりの購入額が下がっていれば売上への貢献は相殺されますし、値引きでリピートを引き出していれば粗利は削られます。
リピート率を経営判断に使うのであれば、まず自社の初回から2回目までの購入間隔を実際に集計することが最初の一歩です。この分布を見ないまま配信本数や割引率だけを調整しても、顧客が実際に戻ってくるタイミングとズレたまま施策を続けることになります。リピート率は、単発のキャンペーンの成果ではなく、購入後のコミュニケーション設計という事業全体の仕組みの中に、他の指標とあわせて置いて初めて動く指標です。
具体的な最初の一歩は、注文データを顧客IDごとにエクスポートし、各顧客の初回注文日と2回目の注文日の差を計算することです。特別な集計ツールがなくても、注文履歴のCSVと表計算ソフトがあれば1日で終わる作業です。この日数の分布を先に手元に置いてから、配信の頻度やタイミングを設計し直すという順番を守ることが、施策を打つより前にやるべきことです。
よくある質問
Q1. リピート率とは何ですか?
リピート率とは、一定期間内に購入した顧客のうち、どれだけの割合が再度購入したかを示す指標です。新規顧客の獲得より、既存顧客との関係を維持できているかを見るために使われます。
Q2. リピート率の計算方法を教えてください
代表的な式は「期間内に2回以上購入した顧客数 ÷ 期間内に購入した顧客数 × 100」です。別に「ある期間のリピート顧客数 ÷ 前期間の新規顧客数 × 100」という式もあり、分母の取り方で数字が大きく変わるため、どちらを使っているかを社内で明記する必要があります。
Q3. リピート率を上げるにはどうすればいいですか?
配信本数を増やすことではなく、初回購入から2回目購入までにかかる実際の日数を把握し、そのタイミングに合わせて購入後の自動配信を設計することが起点になります。自社の実測では、スケジュールで一斉に送るメルマガより、購入行動を起点にした自動配信のほうが結果が出ました。あわせて、リピート率の集計期間を顧客の実際の購入間隔より短く切っていないかも確認が必要です。期間を短く切りすぎると、実際にはリピートしている顧客を新規のまま数え続けてしまいます。
